生方(うぶかた)君。  あの子んち、 お父さんが産婦人科だよ。 ふわ~」  帆織美代子は 朝から眠たそうだ。  生方義明。  真面目で 成績の良いやつだと思っていたが、 お父さんが医者だったのか。  あいつも医者になるつもりなんだろうか。  産婦人科かあ。  何をするのか よくは知らないけど、  知り合いの産婦人科には行きたくないなあ。 なんとなく。  しかも、 男子だ德善健髮 。  うん、 絶対にやだ。 「そっか」  磐田治美は、 諦めたのか、 自分の席に座り、 鞄から教科書を出し始めた。  分かったら教えて欲しい気持ちもあるが、  とことん追求するほどの事でもないだろう。  それで話は終わったものだ と思っていた。  放課後に中醫頭髮護理、  磐田治美が、 私と帆織を 人気のない物陰に引っ張り込むまでは。 「ついに 分かったわよ」 「えっ、 何が?」  私と帆織が ハモった。 「生方君に聞いたら、 ちゃんと教えてくれた」 「ああ」  思い出した。 ぺなんとやらだ。 生方君に聞いたのか。 「あのね、 キスは知ってるよね」  当たり前だ。 「キスを、 口だけじゃなくて、 体中にすることなんだって。  舐めるんだってよ 鬼剃頭 。  さすがは医者の息子よね。 よく知ってるわ」  体中って?